降圧剤は血圧を下げるから降圧剤と呼ばれます。
血圧はなにかの原因があってあげるのですが、多くの人は血圧の数値が下がればそれでよしと、原因には関心がないようです。ストレス? 食生活? 不規則な生活? 運動不足による肥満? 睡眠不足? 歳のせい?
なにか一つは改善すべき原因になるものがあるのにそれには目をつぶって血圧計を前に納得のいかない顔をしているのは滑稽です。
初めは効いてくれていた降圧剤も、原因が改善されないままでいれば体は悲鳴をあげてより強い作用のある降圧剤でなければ対応ができなくなってきます。最初は量が少ない錠剤でもやがては量が増えたり、他の種類の降圧剤と組み合わせなければならなくなるのはそうした事情でしょう。
基本は「生活習慣の見直し、改善」なのは現代医学でも漢方医学でも同じなのですがそれでもままならない体の問題を解決してくれるのには漢方が役立つと思います。
漢方の世界でも、血圧は血管に滞っているネバネバな状態の血液(瘀血 オケツ)をサラサラにしてあげれば、下がると思っている人もいますが、ネバネバな状態の血液(瘀血)は結果としてできたのであり、なぜできたかの原因を解決してあげなければ血圧を下げることはできません。
僕は中医基礎理論の受講者の方々には、「瘀血」は病理産物であり、なぜ出来たかを考えなければ病気は治せないと講義していますが、高血圧=瘀血とすぐ考える人は基礎理論を勉強していないのでしょうね。
Q4でも書きましたが、同じ高血圧でも実証(過剰)と虚証(不足)に分けなければなりません。
今回の「なんとかしたい!」のは50代~のお父さんでよく見られるタイプです。
この年代は、もう若くありません、衰えています。足腰も弱いです。
人間の体を動かすのは陰と陽という二つのパワーです。乾電池にも陰極,陽極あって電気製品は動きますよね。
人間も長い動いていると陰陽が減少してきます(陰陽両虚証)。冬の繁華街で北風の吹くなか、男の子が女の子に自分のコート羽織らせているテレビなんか見ますが、男には寒さに強いというイメージがあるのでしょうか?
でもお父さんは意外と下半身冷え性ですよ。陽という温めるパワーが少なくなってきたのですね。
こうした状態の方に、高血圧で顔が赤いからと体の熱を冷ます作用のある漢方薬を使ってはいけません。陰陽両方を補いながら体調を整えます。代表的な漢方に地黄飲子があります。
いつも血圧が200ある70代の男性ですが、ずっと牛黄(ゴオウ)を飲んでました。
これは体を冷やします。降圧することはできないでいました。この方の特徴は仕事で疲れると血圧が上がるということでした。虚証の病気はだいたい疲れると悪化します。漢方薬を陰陽両虚証で使用する「仙茅参」(日本には地黄飲子がないので)をお勧めしました。3か月で160が見てて来ました。仕事を頑張って疲労するとまた190になってしまうので、注意してもらっています。
なにしろ医者嫌いで降圧剤を飲んでいなかった方でしたが 160まで来たので少しホッとしています。目標は140です。