漢方でなんとかしたい!

中医学講師30年。漢方や中華圏の文化とか書きます。

Q6 お兄さんの過敏性腸症候群をなんとかしたい!

 気分屋のA君は機嫌が悪いと、気弱なB君にすぐ当たります。

 過敏性腸症候群を漢方医学の病機から考えてみましょう。

 中国の科学の基礎になったのは「五行学説 木火土金水」です。天文学、建築学、風水学・・・。漢方もそうです。

 [木と土の関係]

 木は土の中に根をはり土の栄養分を吸い上げます。これを木剋土と言いますが、木が土を抑え込む形です。

 漢方医学に当てはめると、木は肝臓、土は脾臓(消化器)になります。

 肝の持つ性質は「疏泄」といい体の中を流れる「気」の流れをコントロールすることです。人の気分が良い時は肝臓は気をスムーズに流すのでなんでもないんですが、気分が悪い、イライラすることがあった、緊張する場面があったりすると、肝は気をスムーズに流すことができず、気は溜まります。自覚症状としてはお腹、脇腹、乳房が脹る、ゲップやため息が止まらない、イライラする、落ち込むなどが現れます。

 こうした肝(木)の状態は脾(土)に伝わり、腹痛や下痢などの症状がでてきます。これを肝脾不和の状態と言います。肝臓が脾臓をいじめる形です。

 A君がB君をいじめているとき、どう対応しますか?

 A君の興奮を鎮めることが大切ですね。でも現代医学ではB君(腸)のことばかり治療します。漢方では肝の気の流れをよくすることから考えます。逍遥散や開気丸を使います。

 またB君が弱すぎる(消化器が弱い)ことも考慮しましょう。普段から軟便気味、食欲不振がある場合は、六君子湯で脾を建てなおしましょう。