漢方でなんとかしたい!

中医学講師30年。漢方や中華圏の文化とか書きます。

Q14 自閉症をなんとかしたい!

 これまでの研究で自閉症児と健常児では微生物叢(ビセイブツソウ)と呼ばれる腸内に生息する膨大な腸内細菌の種類と数に著しい数の差があることがわかっています。

 事実 米国疾病予防管理センター(CDC)によると、自閉症児が慢性的な下痢や便秘を経験する可能性は健常児の3.5倍だそうです。

 カルフォルニア工科大学のエレイン・シャオ研究員の実験では人工的に作った自閉症マウスは腸管壁湿潤がおこり、腸内細菌によって作られた4EPSという分子が腸管から血中に流れだす量が健康なマウスの46倍でした。この分子が脳に到達する可能性もあります。

 シャオ研究員はマウスの胃腸障害に効果があるバクテロイデス・フラジリスを餌に加えて与えました。

 5種間後 血液中の4EPSは大幅に低下し腸内微生物叢も健康なマウスの状態に近づき行動に改善がみられました。

 しかし、治療をうけたマウスのゲージに新しいマウスを入れても相変わらず相互交渉は見られませんでした。

 シャオ研究員は腸内細菌を整える方法は一部の自閉症患者にしか効果がない可能性があり、この結果が人間に当てはまるか不明だと述べています。

 しかし、ユニバーシティ・カレッジ・コークで解剖学と神経科学を務めるジョン・クライアン教授は「自閉症研究者は腸内細菌の重要性を過小評価すべきではないと指摘しています。               ( 以上Y!ニュースから要約)

 

 中国医学では、五臓六腑と言い、臓と腑はお互いに結びついていると考えています。肺臓に結びついている腑は大腸です。

 これは中国での医療の実践・経験から確立された理論なのですが、咳の患者さんで便秘をしている場合には咳を止める薬ではなく下剤で腸を通せば咳が治る、花粉症の人がヨーグルトを飲むと鼻水が止まるなど例としてあげることができます。

 また七情(喜・悲・憂・怒・思・恐・驚)という感情も五臓に影響を与え、臓に病気があると該当する感情が出てきやすくなります。肺は「悲・憂」です。

 大腸の環境が悪くなると肺も影響を受け悲しい、憂うという感情がでてきやすくなるのです。

 漢方医学の七情 五臓の関係と現代の研究が一致していることがわかり興味深いニュースでした。

  腸内環境をよくするには乳酸菌や食物繊維をとればよいというだけのことでしょうか?私たちはこうした「+」のことばかり考えがちですが、それにもまして中医学でいう「肥甘厚味」の過食(こってりした味、甘い味、濃い味)を控えるという「-」の考えも必要なのです。こした味は腸にいいわけはないのです。