漢方でなんとかしたい!

中医学講師30年。漢方や中華圏の文化とか書きます。

Q21 認知症にならないようになんとかしたい!

 平成22年の統計では65歳以上のお年寄りの7人に1人は認知症だそうです。

 患者さんの変りよう、介護される方の負担戸惑いなど 自分はあのようになりたくないし家族には迷惑をかけたくないと思います。

 脳の病気は一度かかるとなかなか元には修復されませんし、患者さんには病気という意識がなくなるということを考えると、認知症は治療より予防が大事だと思います。

 現代医療は一般的に「治療」は得意ですが「予防」は苦手です。一方「漢方医学」は「未病を治す」ということに力を入れてきたので「予防」は得意です。

 しかし「認知症」という新しい病気に関する文献は漢方医学、中国医学には今まであまりありませんでした。ところが中国でも「痴呆症(中国では痴呆症と言います)」の患者さんが多くなり、中国医学から認知症の治療法をアプローチするようになりました。

 ※日本でも認知症の患者さんに「抑肝散(加陳皮半夏)」を病院で使っていますが、一般の人が誤解しているのは、あれは認知症による徘徊に効果があるであって認知症を治療する薬ではないということです。

 中国の中医病院、研究所などでは湯薬、鍼灸、気功などの方法で認知症治療をしていますが、各機関 使う生薬は異なりますが、基本治療は「補腎+活血」ということでした。

 中医学の古典には「腎は髄を生じ、髄は脳に通じる」「脳は髄の海」という記載がありこれが認知症治療に補腎をする根拠になっています。

 腎の機能は老化とともに衰え、そうすると脳の髄が減っていく。そうすると健忘が表れるということです。

 腎を補う生薬「管花肉從蓉(カンカニクジュヨウ)」はよく精力剤的に使われてい

ま抽出破壊された脳の神経細胞を修復することが現代の研究でわかりました。

 小林漢方の「仙茅参」はもともと脳梗塞の後遺症や高血圧のために作られた補腎薬ですが処方の中に「管花肉從蓉」が入っています。

 これに脳の血流を良くする丹参や紅花などの「活血薬」を併用すれば、認知症の予防ができるいます。