漢方でなんとかしたい!

中医学講師30年。漢方や中華圏の文化とか書きます。

手術後の傷口の痛みをなんとかしたい!

草民、草薬。

中国の古代劇観ていると、「草民」という言葉が出てきます。草の民。下々の人間の意味ですね。同じように下々の薬草があります。名もなく「本草書」の中には記載がありません。本草書に記載がなければ単なる民間の草で医者は使いません。

日本でも有名になった「三七人参」(田七人参)も「神農本草経」にも記載がない名のない薬草でした。

そんな三七を一躍薬物のスターにプロデュースしたのは明代の李時珍です。古代の中国では戦が多く兵士は刀傷を負い出血をしました。そうした時に三七は止血効果があり、たいへん役に立つことを中国全土旅していた李時珍は知りました。

伝説では畑を荒らす蛇を農民が棒で打ち据え追い出したが、傷だらけの蛇が三七を食べて傷を治したとされています。なんだか落語の「そば清」みたいです。

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蛇を追い出す農民たち

当時の中国には「板うちの刑」がありました。罪人は板で打たれると内出血し肉が切れれば血が出ます。また当然痛いです。三七はこれらすべての問題を解決することができました。

内出血を活血作用、出血は止血作用、痛みは止痛作用

で治したのです。李時珍は罪人が飲むと良いと言っています。

三七という名前の由来は諸説あります。日に当てるのが3割、日陰に置くのが7割。1つの株から三本の茎が出て一本に七枚の葉がつく。漆のように傷口を保護し血を止めるので山漆(発音が三七と同じ)。日本では産地が田州であったことから田七と呼ぶことが多いですね。

非常に役に立つ薬物なので昔は「金不換」とも言われ国外に出すことは禁じられていました。

李時珍は罪人が飲むと良いと言いましたが、我々はそれをどう応用したらいいでしょうか?
たとえば運動選手が使うといいですね。特にラグビーやアメフト、相撲のような人とぶつかる競技で怪我しやすいもの。

それから、手術後の疼痛。これにもいいです。この疼痛はなかなか痛み止めが効いてくれず夜になると疼きます。これは中医学でいう瘀血による痛みの特徴です。

板藍根(バンランコン)はインフルエンザの予防薬として日本ではツイッターで有名になりましたが、本来は皮膚の腫れ痛み熱感を取る薬です。
三七と板藍根を併用すれば術後の疼痛の緩和には効果があるはずです。というか実際に中国の病院では処方されています。

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