漢方でなんとかしたい!

中医学講師30年。漢方や中華圏の文化とか書きます。

国際中医師試験解説(中薬学)4

36 温中止嘔の効能がある薬はどれか? A 麻黄 B 桂枝 C 紫蘇 D 生姜 E 香薷 [解答]D 刺身三点盛りの話はしたよね。同じ中焦(脾胃)に働くけど紫蘇は行気寛中(脾胃気滞! 肝気鬱結ではない)、生姜は温中。ともに解表作用は弱いので解表の目的では補助…

国際中医師試験解説(中薬学)3

32 鼻淵鼻塞と頭痛の治療に優れた薬はどれか? A 防風 B 紫蘇 C 細辛 D 独活 E 桑葉 [解答] C 解表薬の中で通鼻竅の作用があるのは、白芷(+止痛)、細辛(+止痛、温肺化飲)、蒼耳子(有毒)、辛夷(鼻淵の要薬) 白芷は頭痛、鼻塞がある風寒感冒に用…

人はなぜ夜になると眠くなるのか、そしてなぜ夢を見るのか?(前)(こころと漢方)

森羅万象はすべて陰陽の運動により成り立っています。一日24時間でいえば陽気が段々と盛んになってくれば明るくなってきます。昼くらいには陽気はマックスになり明かるいです。夕方は陰気が盛んになり始め、陽気はだんだん減っていくので暗くなってきます…

中国茶 工夫茶 新しい茶壺の使い方

中国茶を飲む前に急須を「開壺」をしよう。 お茶会の様子です 友人の王君から紫砂壺を頂きました。 江蘇省宜興が原産で、明代から作られている紫砂を原料とした急須で大変高価なものです。紫砂から作られているため土臭さが残っているのではじめに「開壺」と…

国際中医師試験解説(中薬学)2

27 下記の項目で、発散発表、行気寛中という働きをもち安胎もできる薬はどれか? A 羌活 B 白芷 C 細辛 D 紫蘇 E 生姜 [解答]D 紫蘇と生姜。共通点は刺身三点盛についてくる点や。だから帰経は脾。解表薬だけど力は弱い。だから解表ではなく発表と…

国際中医師試験解説(中薬学)1

[発散風寒薬(辛温解表薬)]22 発汗解表作用と利水消腫の二つの効能をもつ薬はどれか? A 麻黄・荊芥 B 香薷・紫蘇 C 生姜・桂枝 D 麻黄・香薷 E 防風・白芷 [解答]D 麻黄の最後の効能に利水があったよね。麻黄と同じ作用があるのは香薷、香薷あ…

桃には霊力があり邪を排除しました。(こころと漢方)

北宋の詩人 王安石が元旦の人々の様子を詩にしています。 爆竹の音を聞きながら一年を送った 暖かい春風のなか、屠蘇を飲む 払暁の陽光が家々を照らす 皆、旧い桃符を新しいものに取り換える 爆竹声中一歳除 (爆竹声中一岁除, ) 春風送暖入屠蘇 (春风送暖入…

中薬学ってつまらない?(江東中医薬学院)

中薬学は中医学を勉強していく上で大変重要な学科です。「理・薬・方・法」のうちの大切な一つです。 薬剤師や薬学生の皆さんは「薬用資源植物学」や「生薬学」を連想してしまいがちですが「中薬学」と「薬植」と「生薬学」は全く異なる学問です。植物の形態…

第4回 スピリチュアルなアレコレが好きな心理臨床家の会

龍谷大学臨床心理学科教授 東豊先生、精神科医 蒲生裕司先生主催の心理臨床研修会で講演をします。テーマは「心理臨床と中国医学」ですが、中医学の七情理論を心理臨床系の人たちがどう感じるか興味深いです。また羽田守快住職の「霊障と漢方薬」というテー…

紅楼夢で今までの復習(こころと漢方)

中国四大奇書のうちの一つ「紅楼夢」は清朝乾隆帝の時代に曹雪芹によって書かれた長編小説です。主人公の賈宝玉(か・ほうぎょく)は上流階級の賈氏一族の貴公子であり、物語には林黛玉や薛宝釵薛宝釵など美少女が登場します。 林黛玉は才能もありプライドが…

曹操の頭痛 中医心理学から考える(こころと漢方)

三国志 曹操の頭痛については「脳腫瘍」であったというのが現在の定説です。では三国志の時代、今から約1800年前に曹操を診た華陀は実際にはどのような診断をしたのでしょうか? 「頭痛は風痰が原因です。病根が脳の中にあるため薬を服用しても治らない…

端午節は6月7日。午時水忘れないで!(中華圏の文化・風俗)

明治政府は従来の祭り事をすべて陽暦に変えてしまいました。そのため正月も1月1日、旧正月(2月)、お盆(7月)、旧盆(8月)などズレがでてきてしまいました。同じ朝の6時でも冬と夏とでは明るさが違うように自然界の陰陽運動には消長、転化という量…

中医心理学では薬の名称にも一苦労(こころと漢方)

地竜はミミズ、李時珍の《本草綱目》では「蚯蚓」という名前で収載されています。日本でもミミズは優れた解熱効果があり乾燥させて服用させています。アスピリン喘息の患者さんはアスピリンや他の解熱剤の服用で発作が誘発されてしまいますが、このような患…

落語 天災 言葉で説得する療法(こころと漢方)

黄帝様の疑問について、岐伯がお答えいたします。 気の荒い八五郎は今日も母親を蹴飛ばし、挙句の果てに隠居の家に離縁状を母親に出すから代筆をしてくれと頼みに来る。呆れた隠居は心学の先生、紅羅坊名丸(べにらぼうなまる)先生のところへ話を聞きに行っ…

杯中の蛇影 思い過ごしは病気になります(こころと漢方)

ある人が酒を飲もうとした時蛇の影が盃に映った。その人は蛇を飲み込んでしまったと思いこみそれ以後具合が悪くなってしまった、ところがある日それは盃に映った弓だということがわかり、それから病はすっかり治ってしまった。疑いの目でみているとなんでも…