漢方でなんとかしたい!

中医学講師30年。漢方や中華圏の文化とか書きます。

汗がとまらないのをなんとかしたい! 自律神経失調症? 更年期?

汗はこころの汗なのだ!

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汗の悩みは本当に多いですが、原因は簡単ではありません。体質もあるし精神的なストレスもあるし原因は様々です。

患者さん 50代 女性 会社員
数年前より汗が滝のように出てしまう。内科では自律神経失調症、婦人科では女性ホルモンの値が低く更年期障害と診断されるが実際の対処法はなかった。

不安感が有り眠りは浅い。寝ていても汗をかく。身体は夕方から火照る。腰痛、右足のしびれ感があり鍼灸院に通っている。 (子宮筋腫あり)

五行学説では汗は五液のうちの1つで、五臓では心臓、火行に属します。火行は五季では夏に当ります。夏は暑く体温が上昇してしまいます。そのため血液中の水分を体外に排出して汗として体温を下げるようにします。このとき心臓には血液をスムーズに流すために他の季節より負担がかかります。だから夏は動悸息切れが多いですね。このような観察から古代の人は心臓と汗を結びつけたのでしょう。

心には血流をコントロールする作用の他に精神活動を安定させる作用があります。だから表題では故意に心ではなく「こころ」にしました。

この患者さんの汗は心と関係がありそうです。こころの作用の方も不安定になっています。
夕方から身体が火照るのは中医学で考えれば熱です。心に熱があるのでしょう。現代医学で考えれば更年期ののぼせということでしょう。更年期は老化です。生長・老化は腎の作用です。腎が衰えた腎虚という状態もあるでしょう。五行学説では腎は水行です。腎の水は心の火とお互いが制約しあって平衡バランスを取っています。更年期で腎水が不足して心火が抑えられなくなったのでしょう。これを心腎不交と言います。

心の熱を冷ます「天王補心丹」と小林漢方の「野牡丹」を使うことにしました。野牡丹には更年期障害でよく使う「二至丸」の処方にさらに野牡丹と土鼈虫(どべっちゅう)が入っています。土鼈虫はシナゴキブリのメスの成体ですが、下半身のしこりを取り去る力が強く婦人科の子宮筋腫に効果がます。この患者さんは筋腫もあるのでちょうどいいです。

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2週間後、顔色がまったく変わったので驚きました。若返ったのです。40代前半に見えます。会社の同僚にも言われるそうです。悩みの汗もかなり軽減されたのでそのまま続いて服用していただくことになりました。
漢方薬は長く飲まないと効かないと誤解されている方々がいますが、それは違います。相談して適切な漢方を飲めば効果が出るのは早いのです。

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