漢方でなんとかしたい!

中医学講師30年。漢方や中華圏の文化とか書きます。

国際中医師試験解説(中薬学)16

[去風湿薬]

去除風湿して痺痛を解除するのが主要作用な薬物。舒筋、通絡、止痛、強筋骨作用のある物もある。
風湿痺痛、筋脈拘急、麻木不仁、半身不随、腰膝酸痛、下肢萎弱などの症に用いる。
1)桑水流君から出そうな質問:なぜ去風寒湿薬とは言わないのか?
答)痺症は風、寒、湿邪によるものと風邪、熱邪、湿邪によるものがあるので共通する風・寒だけを取って去風湿薬と言います。
薬性、効能によりさらに分類できます。
①去風寒湿薬(温性):独活、威霊仙、川烏、白花蛇、烏梢蛇、木瓜、海風藤
②去風湿熱薬(寒性):防已、羌活、稀蘞草、臭梧藤 ⇒問108。109
③去風湿強筋骨薬:五加皮(温)、桑寄生(平)⇒問104

2)セシルから出そうな質問:風湿感冒や風湿頭痛など他の風湿邪による病証に用いる薬は去風湿薬とは言わないのですか?
答)実際に風湿邪による病証は多いです。ここでは狭い意味の風湿邪、つまり痺証に用いることのできる去風湿薬に範囲を限定しています。

問99 去風湿薬の適応症ではないのはどれか?

A 風湿痺痛
B 筋脈拘急
C 麻木不仁
D 熱痺腫痛
E 去風内動
[解答]E
風湿痺証の症状は痺痛、筋脈拘急、麻木不仁。去風湿薬の去風湿は痺証に限定。
去風を混同しないように。

問100 下半身の風寒湿痺証の治療に優れている薬はどれか?

A独活
B威霊仙
C防已
D羌活
E白芷
[解答]A

【独活と羌活を比較】
①去風湿(部位):独活 下半身(腰膝)  羌活 上半身(上肢、肩背)
②解表(強弱):独活 弱い  羌活: 強い
③止痛  共通 痺証、風寒表証以外の痛みにもOK(頭痛・歯痛・血瘀疼痛)
※ 肝は膝の府、腎は腰の府。独活の帰経は肝腎。ここでは強弱は言っていない。
※ ※配合して風寒表証(挟湿)に用いられる。

問101 陰虚発熱だけではなく風湿痺証を治療できる薬はどれか?

A知母
B青蒿
C秦艽
D防已
E防風
[解答]C
薬性は微寒。熱痺だけでなく配合により風寒湿痺にも用いられる。⇒問102 
清虚熱作用あり骨蒸潮熱に用いられる。陰虚骨蒸潮熱の常用薬。

問103 舒筋活絡、化湿和胃の効能をもつ薬はどれか?

A 木瓜
B 防已
C 独活
D 蘄蛇
E 威霊仙
[解答]A
舒筋通絡、化湿和胃のダブル効果で吐瀉転筋(嘔吐、下痢による筋肉痙攣)にも用いられる。

問105 五加皮の効能はどれか?

A 祛風湿、止疼痛、利水
B 祛風湿、強筋骨、利水
C 祛風湿、通経絡、利水
D 祛風湿、消積滞、利水
E 以上どれも当てはまらない
[解答]B
五加皮は去風湿強筋骨薬。

問106 諸骨鯁咽(しょこつこういん)

[解答]威霊仙
諸骨鯁咽と来たら威霊仙。魚の骨(骨鯁)が咽喉に刺さった時。米酢、砂糖と煎じ液を服用。咽喉、食道の平滑筋を弛緩、蠕動させ小骨を排出させる。酢を使うことで多少の骨の溶化はある。

問107 威霊仙の適応症でないのはどれか?

A 風湿痺痛
B 麻木癱瘓(たんたん:半身不随)=通経絡作用
C 諸骨鯁咽
D 水腫脹満
E 痰飲積聚=その他の作用、消痰水(噎膈、痞積)
[解答]D
威霊仙は独活と同じ止痛作用あるが、通経絡作用もあるので威霊仙のほうが止痛は強い。

問110 肝腎陰虚による胎動不安の治療に選ぶべき薬は?

A 黄芩
B 白朮
C 紫蘇
D 桑寄生
E 独活
[解答]D
桑寄生は補肝腎、養血安胎できるので肝腎虚損、衝任不固の胎漏、胎動不安に用いる。

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