麝香
動物生薬です、雄の麝香鹿の袋状腺嚢の分泌物です。
実際にはどのようなものかと言うと、You Tubeでいい動画がありました。
ジャコウジカは中国東北部、チベット、ヒマラヤにかけて生息します。
オスの陰茎とへその間に外皮と密着して袋状腺嚢があり、その中に含まれる分泌物が麝香(ムスク)です。
発情期のオスはメスを誘うために少量のムスクを排出しはじめます。ジャコウジカの麝という字は鹿と射ですが
これは麝香の「鼻を突き刺す匂い」によるものです。
中国では薬用として使用しますが、遠くヨーロッパや中近東では千分の一以下に薄めて「シャネルの5番」などの香水の原料として使っています。
以前は捕獲したジャコウジカを殺して採取していましたが絶滅の恐れがあり、今では生きたまま麝香のみを採取しています。
四川省では人工飼育が行われています。
さて、中国医学では麝香は「開竅薬」に分類されます。
竅は通気口のこと。心臓にも右心房とか左心室、大動脈などいろいろな穴があります。
開竅薬とは心臓の穴が塞がっている状態の時に使う薬物です。
心臓の穴が塞がることを「心竅閉阻」といいますが、開竅とは竅を広げて通すの意味です。
心筋梗塞も「心竅閉阻」なので、使います。これは心臓の循環器としての疾病ですが、
そのほか心臓は中国医学では「こころ」の作用があります。
精神疲労やストレスで、頭が働かない、うつっぽいときに使うと、気分がすっきりしますね。
現代人の気分障害に使えるのではないでしょうか?
よく竜脳と一緒に配合しますが、これはフタバガキ科リュウノウジュの樹脂を加工したもの。氷片とも言います。現在では化学的に合成できます。
麝香は温性、竜脳は寒性なので、配合することで温性寒性が消え使いやすくなりまた高価な麝香の量を減らすことができます。