漢方でなんとかしたい!

中医学講師30年。漢方や中華圏の文化とか書きます。

Q33 おばあちゃんの便秘をなんとかしたい!

 日本で販売されている下剤は病院で出されるのも薬局で買うものの成分的には差はほとんどないので強いも弱いもないのです。一見現代薬のようにみえる錠剤も生薬のセンナで、漢方で使う場合には番瀉葉という名前にかわるだけ、ミルマグは水酸化マグネシウムで漢方では芒硝といいます。いずれも攻下薬という作用の強い下剤です。

 漢方だから優しいというのは誤解で、お年寄りの下剤として勧められている麻子仁丸

にも大黄という攻下薬が入っています。大黄は関所(腸の詰まりのことです)を蹴破ってしまうほど強いので将軍とも呼ばれています。

 いずれも効果が強いので飲めば出るのですが量によっては腹痛や下痢なってしまいます。

 長年便秘で悩んでいる女性でいろいろと試したそうです。試したといっても中身は

どれも同じようなものなのですが、飲んでも効かなかったりお腹が痛くなったりで数日間でないこともありました。

 非常に緊張している状態で体の「気」が流れなかったのだと思います。気が流れなければ腸は動けません。下剤は使わず、気がスムーズに流れるようになる加味逍遥散を使いました。結果として気が流れだし腸が動きだし便通がありました。同時に食欲も出てきました。

 市販されている下剤は文字通り下剤で腸管を刺激するだけです。しかし腸が動かない状態で使用してもうまくいきません。腸がなぜ動いていないかを判断して対応すれば下剤を使用しなくても便はでます。

 お年寄りで力んでも便がでないのは、腸の力がなくて動けないのですね。胃腸の働きを強化する補中益気湯を使います。また貧血気味の女性は腸に潤いがないので便中の水分がなくなりコロコロします。婦宝当帰膠で血を増やすといいですね。