因人制宣
患者さんの体質、年齢、性別などの違いにより漢方は治療法や処方を変えます。
人の体質には強弱や暑がり寒がりがあり、体質の強い人には用薬量は多く、弱い人には用薬量は少なくします。
暑がりの人には温熱薬を 寒がりの人には寒涼薬を注意して用いなければなりません。
例えば冷え性の人がカゼをひいた場合、寒涼薬の銀翹散を使うとお腹が冷えて下痢をします。
年齢により生理状況や気血の充実度が異なります。
老人は気血が少なくなり病は虚証が多いので、実邪があっても攻邪の薬は少なめにするべきです。
歳を取ると動脈硬化や糖尿病、認知症の予防で活血剤を多用したがるが、活血剤は気血を消耗する
ので、気血を補う薬剤と併用したほうがいいでしょう。
子供は生理機能は旺盛だがまだ気血が充実していないので臓腑がまだ未熟でカゼなどにかかりやすく
症状もすぐに変化してしまいます。強い薬は使わないで補い薬も控えめに使います。
老年は瀉を慎み、少年は補を慎む《温疫論 老少異治論》
男女の性別では女性は月経、オリモノ、妊娠、出産という特有の生理があり、月経、妊娠、出産の状況にあるときには慎重に薬を選ぶ必要があります
月経のときに下剤を用いれば出血量が増えてしまいますし、妊娠のときに活血剤や下剤を用いれば流産の危険がでてきます。
漢方は症状が合っているとかの基準以外に様々なファクターを考慮して決めていきます。