漢方でなんとかしたい!

中医学講師30年。漢方や中華圏の文化とか書きます。

夏の下痢をなんとかしたい!

 夏は下痢が多いのですが、中医学では「消化管に余分な水」が停留していると考えます。ですから「水分を調整して大便を固める」というのが治療の基本です。単純に大腸の動きを止めてしまえば大腸の細菌は排泄されることなく大腸で繁殖してしまい症状は悪化してしまいます。腸管出血性大腸菌O157が流行った時、下痢止めにより症状が重篤化してしまった例があります。

 夏の下痢で経験する症状は、水のような下痢の他に嘔吐、尿の量が減り、口の渇きです。これらはまさしく水流の反乱ですね。これを調整してもとの水の流れに戻すのです。

 腸管の余分な水は膀胱へ流れるようにして、腸管の水が減れば大便は固まっていきます。自然な水の調節ですから腸管の水がなくなってしまい逆に便が固まって便秘になることはありません。水が逆流しなければ吐き気も止まります。

 夏季はついうっかり冷たいものを食べたり飲んだりで、消化管の中には水が溜まります。その状態に今度は蒸し暑く湿った空気、部屋のクーラーで冷たい空気が体に当たります。これが刺激になって爆発です。

 中国の薬に藿香正気散(かっこうしょうきさん)があります。もともとは「霍乱」の薬ですが、中華圏では夏の下痢やカゼに広く使われています。この薬の効能はそればかりではなく「水土不服」、環境が合わないで体調が悪くなったときに使えます。旅先で体調を崩したときにはよい薬です。夏休みの旅行には是非持っていくと良いでしょう。

 僕もついうっかりお腹を冷やして急にお腹が痛くなることがあるので携帯しています。特に方位の悪い方角に行くときは忘れずにしています。「男は外にでたら7人の敵がいると思え」という言葉は社会に出てから身にしみていますので、現金、携帯、手帳とボールペン、汗拭きティシュ、藿香正気散は用意して外出します。あとスイカ
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