中医心理学 老人の心理衛生
老人の心理特徴
人生の旅の最終段階
身体の機能の低下だけではなく、経済的生活、家庭における地位、社会的な働き、人間関係などからも老人の心理状態に影響を与えます。
老人の肉体、精神はすでに衰えていて過激なあるいは持続的なストレスには耐えられません。これが気の流れを阻滞して血瘀、痰飲などを起こしやすくし、合併症、慢性病、既往病の再発などを引き起こします。これらの疾病はやがて心身を消耗していきます。
老人に見られる症状
疲れやすく気力がない・寒がりで四肢が冷える・ねない・ふらつき・体が重い・息切れ・歩行困難・座りたがる・横になりたがる・視力低下・全身の震え
人五十以上にして陽気は日々衰え、日々に損なわられ、思考力も次第に減退し、前後のことを忘れ、起居が怠情になり、何をしてあげても皆満足せず、見るもの聞くものに対しゆったりとした気分になれない。・・・・・・すべてのことが衰退し、心に頼みにするものがなく、忘れっぽく、怒りっぽく、性情が異常に変わる 孫思邈《千金要方・養老大例》
長寿の人は、肉体と精神が衰えたといっても、自分の気持ちは壮(さか)んであると思っている。・・・わけもなく興奮したりあるいは怒ったりし、性情はかんしゃく持ちで変わりやすく非常に不安定だ。まるで子供のようである。・・・老人の性格は偏屈で感情が変化しやすく、一人ぼっちで退屈で寂しいと感じ、憂鬱煩悶して心情がのびやかでない 陳直《寿親養老新書・性気好嗜》
これらをまとめると・・・
感覚遅鈍:聴覚・嗅覚・視覚・触覚などの低下
智能降低;記憶力の低下(すぐ忘れてしまい物事をうまく対処できない。おかしなことを言ったり繰り返しくどくど言う
性情不定:憂い。あるいは自ら老練とうぬぼれて気ままに振る舞う。
睡眠不寧:不眠、多夢、夜寝不安、驚き恐れて目が醒めやすい。このため心身が疲れ果てる。
技能減退:肉体労働、頭脳労働の効率、技能レベルの低下から卑屈になる。
社交減少:猜疑心、孤独感が生じやす。
以上から・・・
無用感(自分は余分な存在。重荷になっている)
損失感、不安全感(精神的負担が生じる)
老人の念願は往々にして現実しがたいので不満や恨みを持ちやすく憂鬱になって意気消沈し、更には怒りとなる。
これら老人の心理特徴を理解したうえで、どのように接したらいいのか考えましょう。次号は老人の心理養生についてです。
狭心症予防に田七はよく使われています。
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