漢方でなんとかしたい!

中医学講師30年。漢方や中華圏の文化とか書きます。

JKの慢性頭痛、眩暈をなんとかしたい!

ある日の漢方相談

女子高校生の慢性頭痛です。頭痛についてはこのブログでもよく紹介しています。慢性の場合には急性と異なり治りにくくまたいろいろな原因があるのです。

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彼女の場合は弁証は簡単でした。顔色は萎黄で唇の色も薄いです。中医学診断で「一黄五白」というのですが、顔色が黄色または淡白、唇、舌質、眼球結膜、爪が淡白を望診で「血虚」と診断します。

血液の不足は潤いがなくなりますので眼球の乾燥感、髪の毛の乾燥感がでてきます。女の子の場合は生理も不順にになり経血に塊が認められます。これは血液不足により血流が滞り淀みができたためです。血液の排泄に抵抗がでますので生理痛が伴いますね。

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血液の流れが渋滞を起こしています

血液が脳に営養しないと眩暈が起こりますが、他には耳鳴り、精神不安定、記憶力低下、眠りが浅く夢が多いなども脳からの連想ゲームでわかりますね。彼女の場合にも当てはまりました。

経絡図では肝臓の経絡から目系が出ています。目に血液が送られます。「肝は血を受けてよく視る」と言われていますが、血液がプールされている肝臓に血液が不足していると目はよく視ることができない、視力の低下が起こります。黄帝内経では老化で50歳になると「肝臓は薄くなり目が見えにくくなる」と記載されています。僕も50のときから遠近両用を勧められました。

彼女の場合は血液不足で目の乾燥感がありましたが、血液が不足すると血液は渋滞をおこすと生理のところで説明しました。これは目でも起こります。目の奥が痛くなり目を開けていられなくなります。パソコンを使う人、ゲームをしすぎる子に多く見られます。

彼女の場合は血液を足し活血(血の滞り)を改善してあげればいいでしょう。金元代の李東垣は「川芎は頭痛の要薬」と言っていますので処方に考慮しましょう。簡単です。

ところがここからが大変なのは、彼女は漢方の匂いや味が苦手で飲むことがなかなか飲むことができないのです。

相談机の上にいろいろな薬を用意してぬるま湯に溶かし、どれが飲めるか試してもらいました。

婦宝当帰膠=お湯に溶かすと匂いがダメ。甘すぎ。
逍遥散=もちろんダメ。苦い。
心脾顆粒=これなら飲める  ⇒ 冠元顆粒を少量加える(活血、川芎) =なんとか飲める

心脾顆粒、冠元顆粒に決定。でも一時に飲めないので水筒に溶かした薬を入れて一日かけて飲むようにしました。使える処方は1つではありません。治す方向性が同じならその中から選べばよいのです。

「だんだん味は慣れてくるよ」と魔法をかけて終了しました。中医心理学では「順情従欲」と言います。

昔から医者たちは患者さんに薬を飲ますことで苦労して工夫をしています。

これは患者さん(赤ちゃん)の意識を注射器から移すことで治療した小児科医の動画です。中医心理学では「以意導引」と言います。


Doctor Distracts Baby From Shots With Goofy Song - 991775

以上、漢方薬の決め方を順番に沿って解説したのですが、漢方薬を症状に当てはめて選ぶことはしないのです。またよく生薬と呼びますが正しくは中薬です。同じ薬物でも中医学理論に沿った使用の仕方をした時は生薬ではなく中薬と呼び現代薬学的な成分の理解では生薬と呼びます。今の薬剤師さんは中薬を勉強しないで生薬として考えています。僕は賛成できません。

漢方薬溶かして飲む時 好!

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