漢方でなんとかしたい!

中医学講師30年。漢方や中華圏の文化とか書きます。

陰陽いろいろ

 身体の中には陰の気、陽の気があり、生命は維持されています。死亡するときは陰の気が先に抜けてその後陽の気が抜けて生命終了になりますが、生きている間は陰陽はともにあり大きくったり小さくなったり変化しています。朝になり目が醒めて起き出すのは陽気が大きくなっていく(同時に陰気は小さくなっていく)からであり、夕方から眠くなるのは陰の気が大きくなっていくからです(陽気がちいさくなる)。寝ている間でも陽気が上がれば夢を見ます。もし陽気が上がり始めたときに起きれば気分は爽快だし、逆に陽気が少なくなってきたときに人から起こされれば体調は悪くなります。
 人間の陰陽は携帯電話の電気と同じで、最初は充電すればすぐに戻りますが、何年も使っていると充電に時間がかかったりできなくなります。これは人間の生命と同じですね。
 女性は若い頃は冷え性が多いのですが更年期でほてりに悩まされます。男性は暑がりですが歳を取ると腰が冷えてきます。だんだんと陰陽がともに衰えてくるのです。これを陰陽両虚と言います。古代の中国人は亀は地面を這うので地面の陰気が強いと考えました。特にお腹側の甲羅の部分です。これを亀板と言います。鹿は背中に太陽の光を浴びますので陽気が強いと考えました。特に天に伸びる角の部分です。これを鹿角と言います。そして亀の甲羅と鹿の角を加工して膠(にかわ)にしました。これに人参と枸杞子を入れて「亀鹿二仙膠」と名付けました。亀と鹿と人と狗が入っていますね。
 人間の身体の背中側が陽、お腹側が陰。そしてその陰陽が交わるところが女性では子宮、男性では前立腺です。だから加齢で陰陽が不足してくると男女ともに生殖能力が落ちるのです。
 うちの薬局では赤ちゃんを希望される方が多くご相談に来られますが、40を過ぎて(年齢)、不妊治療(数回失敗)されているカップルは陰陽両虚、ホルモン治療されていた方は体温が高い(高すぎ)、陰虚に偏りの方が多いですね。基本、亀鹿をお勧めしています。
 またお年寄りで腰が曲がっている方を見かけますが、背中は陽、陽の気が足りません。この場合も使います。僕は五十肩で辛いですがやはり飲んでいます。亀も鹿もコラーゲン、骨や靭帯の原料です。
 

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薬用亀は中華亀。ミドリガメはNG。