中医音楽療法(1)
中国では薬も針も用いずに音楽で治療する方法がありました。
《黄帝内経》では2千年以上も前に「五音療疾」理論が書かれているのです。宋代、孫道滋は欧陽修の「憂鬱症」を「宮声」で治療しています。官声というのは中国の5つの音階の1つです。五行学説では五音のなかの宮は土行にあたります。
「私は憂鬱になり家に閉じこもっていた。友人の孫道滋君が琴で官調の曲をひいてくれたが、しばらくすると楽しくなり病のことは気にならなくなった」《送楊真序》
現代科学では音楽が脳波、鼓動、脈拍に作用して人体の生理、心理に影響を与えることは証明されていますが、中医では音楽にも帰経、昇降浮沈、寒熱温涼など中薬と同じ特性があると考えています。楽曲では楽器、演奏、強さ、声などの配合は、中薬処方の君臣佐使理論と同じ考えて組み立てられているのです。※君臣佐使理論は処方構成の基本的な考え方です。
中国古代の音調は5つで五音(角、徴、官、商、羽)と言います。五行学説で五臓と五音を当てはめると・・・
木=肝=角(MI) 火=心=徴(SOL) 土=脾=官(DO)
金=肺=商(RE) 水=腎=羽(LA)
【心】
徴調の楽曲:テンポが速く軽快。気持ちが高揚する。
代表的な曲:《紫竹調》《梁祝》《蘇軾牧羊
おすすめの人:イライラしやすい・負けん気が強い・眠れない・心臓がドキドキする・胸苦しい・胸痛・煩躁・舌の先に口内炎ができやすい。
効果的な鑑賞時間:21:00~23:00