漢方でなんとかしたい!

中医学講師30年。漢方や中華圏の文化とか書きます。

月経前緊張症候群(PMS)と「気」の流れ

月経前緊張症候群(PMS)は「気」の流れ停滞

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身体の中には気が流れています。ちょうどJRの路線図のように流れる方向、速度も決まっています。

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特に肝臓から出ている路線(経絡)は足の親指の爪の生え際から起こり、図のように頭まで続く、身体を下から上までつなげる長い路線です。

ちょうど乳房の所を走行していますね。

肝臓には血液がたくさん貯蔵されており、充分な血液が保たれていれば肝臓(という駅は)気をスムーズに流すことができます。ところが血液不足気味の肝臓はそれができません。気の流れがスムーズではなく渋滞を起こすことがあります。女性で多いのは生理の前、多量の血液が外に出る準備をする期間です。気の流れは渋滞を起こし、乳房や下腹部で溜まるため「張り」ます「イライラ」します。「ゲップ」がでます。

よく「逍遥散」を使います。これは更年期障害の薬と誤解されていますが、身体の気の流れを調節する薬です。逍は気の詰まりを消す、遥は気の詰まりを揺さぶるの意味です。気の流れが詰まったことが原因であれば偏頭痛にも肋間神経痛にも過活動膀胱にも使えます。

宋の時代、厳用和は友人から相談を受けます。実は彼の夫人は身体が弱く子供が産めません。第二夫人をもらったほうがよいかという相談でした。

厳用和は自分の作った「帰脾湯」という気や血を増やす薬に逍遥散を加えて友人の夫人に飲ませました。

しばらくすると夫人の顔の血色も良くなり妊娠することができました。

現代の女性は仕事の精神的ストレスによる緊張から気の流れが渋滞してしまいいろいろな不定愁訴が出てきます。ところが医者や薬剤師もそれを気の流れの悪さとは理解していないまま、加味逍遥散だけを出してしまうのです。

気の流れが悪くなる前提に肝臓の血液の不足があるのです。血液を足す漢方薬と併用しないといけません。

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