歯の食いしばりをなんとかしたい
歯並びが悪いわけでもないのに夜寝ているときに歯ぎしりや、食いしばりで悩んでいる方は少なくありません。
心理学的に考えると、歯を食いしばっているというのは緊張している状態です。全身に力が入って抜けていない状態ですね。
仕事など昼間の緊張がそのまま続いている経営者、管理職、リーダーなどによく見られます。
漢方ではこのような緊張が続いている状態を「肝気鬱結」と言いますが、「肝気鬱結」に使う代表的な漢方薬「加味逍遥散」ではなかなか歯の食いしばりが緩和しません。
私の尊敬する中医師であり清朝初代皇帝ヌルハチの末裔、愛新覚羅啓天先生の「方剤学」から有効な処方があるか調べましょう。
抑肝散《保嬰撮要》はもともと小児の夜泣きに使われた処方ですが、肝経の血液不足により筋に栄養(血液)がいかないため痙攣が起こるのを治すというのが主治になります。
肝臓は血液がプールされている臓器で各器官に血液を送ります。眼球に血液が届けばよく見えるようになり、指に行けばよく握れるようになります。筋に行けばよく屈伸ができるようになるということですね。
目の使い過ぎや脳の使い過ぎで血液が不足すれば、筋は痙攣やこわばりを起こすようになります。この痙攣のことを「肝風」と言います。
歯科領域でいえば、咬筋の痙攣、こわばりが「食いしばり」になるのですね。
最近は、ボトックス注射で筋肉の緊張を和らげる効果を利用し、咬筋の筋力を弱めて、食いしばりを軽減する治療が歯科医院で行われていますね。
漢方でも肝臓の血液を増すことで咬筋を弛緩させることができるのです。
食いしばりで悩まれている方は、顎だけではなく肩がパンパンに凝っている、よく寝られない、不安が強いなど他の症状にも悩まれている場合があります。
漢方の良いところは局所的に咬筋だけを緩めるのではなく、その他の部位の緊張も緩めてくれる点です。
抑肝散は肝臓の血液を足すことで痙攣を止める(息風)ができるのですね。
日本の経験方に抑肝散加陳皮半夏があります。陳皮半夏は吐き気を伴う場合にいいと思いますが、抑肝散の量は元の抑肝散より少ないです。購入されるとき注意してください。
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