漢方でなんとかしたい!

中医学講師30年。漢方や中華圏の文化とか書きます。

エンゴサクと仏教儀式

延胡索(エンゴサク)

大森義成師のブログで、中薬の牛黄が宗教儀式で使われていることを知りました。

oomorigijyou.hatenablog.com

牛黄は香りがあり、中枢性鎮痙、鎮静作用があるので、宗教儀式でこころを落ち着かせる手助けができるのだと思います。

今でも線香に使われる沈香(ジンチョウゲ科の樹皮)も中薬で降気作用があるので気が逆上した状態を治し気持ちを落ち着かせさせることができます。

中国に仏教とともに入ってきた延胡索はケシ科の植物の塊茎です。ケシ科なので鎮静作用があります。宗教儀式で用いられていましたがやがて薬効があることがわかり中薬になりました。止痛作用は強く「激しい胃痛のときにはまず延胡索を求めよ」と言われていました。ケシ科といえば薬剤師ならモルヒネが頭に浮かぶかと思いますが、延胡索の成分、テトラヒドロパルマチンにもかなり強い鎮痛作用があるんですね。(モルヒネよりは弱いが耐性を生じない)

国試対策:パパの息子でもあかんとは、けしからん=パパ→パパベリン。の息→ノスカピン。子で→コデイン。も→モルヒネ。あ→あへん。けしか→ケシ科

宗教儀式でやはり心を鎮めるために使われていたのでしょうかね。

ちなみに延胡索は外来種ですねで、外国語の音を漢字に当てはめました。音だけで意味はありません。古代では皇帝の名前と同じ字は使えなかったので、宋代では延から玄に、清代では玄から元に改められました。ゆえに玄胡索とか元胡索と書かれることもあります。

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延胡索と沈香の入った胃痛の薬です。

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