胃強脾弱
明治になり西洋の文明が日本に続々と入って来たとき、日本の医学(漢方)と西洋医学(現代医学)の間ではバトルがありました。
西洋医学に軍配が上がり、漢方医は衰退していくのですが
原因の一つに「解剖学」があります。
西洋医学の解剖図は正確でしたが、漢方医学のそれは曖昧でした。
中医学の基本的な考えは「五行学説」で、臓腑を五個に分けています。
木・火・土・金・水を肝・心・脾・肺・腎に割り振っています。
その中の「脾」は、脾は食べた物を気血に変化させる臓と考えていますので、現代医学の脾臓に該当しません。
胃は消化管で食べた物を簡単に消化させ、小腸が吸収しやすくする働きのある腑であり、脾とは違います。
では、実際に脾はどこにあるのでしょうか?
無いのです。形がないのです。作用はあるが形がないのです。
消化(胃の担当)、吸収した物を気血に変化させる(脾の担当)。
脾胃の協力作用により所謂消化吸収は成り立っています。
胃の働き、消化は中医学では「受納と腐熟」と言います。まず食べ物を受け入れ納めることから始まります。
胃の機能低下があると「食欲不振」になります。
胃の機能が亢進してしまう(胃強)と食欲が異常にでてきます。
ところが胃強になると逆に脾が弱くなり(脾弱)になり気血に変化させることができなくなり
食後にお腹が張り、疲れやすく、大便ははじめは硬くその後は希薄になります。
この胃強脾弱状態は「脾約証」とも呼ばれ、脾約丸を使い治します。
脾約丸って聞いたことないですか?
麻子仁丸のことです。