漢方でなんとかしたい!

中医学講師30年。漢方や中華圏の文化とか書きます。

胃強脾弱(お腹は空くが食べるとお腹が苦しい)

胃強脾弱

明治になり西洋の文明が日本に続々と入って来たとき、日本の医学(漢方)と西洋医学(現代医学)の間ではバトルがありました。

西洋医学に軍配が上がり、漢方医は衰退していくのですが

原因の一つに「解剖学」があります。

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解体新書@杉田玄白

西洋医学の解剖図は正確でしたが、漢方医学のそれは曖昧でした。

中医学の基本的な考えは「五行学説」で、臓腑を五個に分けています。

木・火・土・金・水を肝・心・脾・肺・腎に割り振っています。

その中の「脾」は、脾は食べた物を気血に変化させる臓と考えていますので、現代医学の脾臓に該当しません。

胃は消化管で食べた物を簡単に消化させ、小腸が吸収しやすくする働きのある腑であり、脾とは違います。

では、実際に脾はどこにあるのでしょうか?

無いのです。形がないのです。作用はあるが形がないのです。

消化(胃の担当)、吸収した物を気血に変化させる(脾の担当)。

脾胃の協力作用により所謂消化吸収は成り立っています。

胃の働き、消化は中医学では「受納と腐熟」と言います。まず食べ物を受け入れ納めることから始まります。

胃の機能低下があると「食欲不振」になります。

胃の機能が亢進してしまう(胃強)と食欲が異常にでてきます。

ところが胃強になると逆に脾が弱くなり(脾弱)になり気血に変化させることができなくなり

食後にお腹が張り、疲れやすく、大便ははじめは硬くその後は希薄になります。

この胃強脾弱状態は「脾約証」とも呼ばれ、脾約丸を使い治します。

脾約丸って聞いたことないですか?

麻子仁丸のことです。

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