漢方でなんとかしたい!

中医学講師30年。漢方や中華圏の文化とか書きます。

2023年9月の六白金星 漢方薬で乗り切ろう

2023年9月 六白金星は一白土星の位置に回座します。
一白土星は北で真冬であり冷え込むことから運勢がうまくいかず気持ちが暗くなり憂鬱感、落ち込みがなかなか抜けません。また暗闇から突然剣で切られるような暗剣殺も入り凶のち大凶です。
10月まで持ち耐えるためにはメンタルをケアしていかなければなりません。
そこで六白金星の人たちが少しでも精神的に楽になれるような漢方薬を紹介していきます。

①逍遥散
まじめで親分肌の六白金星さんは自分の計画した通り、段取りがうまくいかないとダメージを受けやすいです。
肝は体全体の気の流れを調節する器官ですが、怒傷肝といわれ思い通りに事が進まなかったり、横槍が入ったりするとその刺激により気の流れを調節することができなくなります。
症状としてはイライラする、焦る、逆に落ち込む、気の流れが停滞するためゲップやため息が多くなる。便秘気味で腹が張るなどです。女性は生理前のイライラが出ます。
肝からの気の流れを調節しなおすために柴胡、芍薬の組み合わせを使います。逍遥散のなかに入っている組み合わせですが逍遙の逍は消に通じ詰まった気を消す、逍遙は揺に通じ滞っている血を揺らして流すという意味があります。

②柴胡桂枝湯
カゼ薬としても有名な漢方薬ですが意外にもメンタル系疾患によく効きます。桂枝湯と小柴胡湯それぞれ半量を合わせた処方になっています。
逍遥散のところでお話しした肝と表裏の関係にあるのが胆です。胆には胆汁を分泌して消化促進する働きの他に精神を落ちつかせる働きがあります。胆が大きいとか胆力がある、胆が坐っているというのは度胸があるときに使われる言葉ですね。最古の医学書「黄帝内経」では決断を主る腑と記載されています。三国志の姜維将軍の胆は大きくそこから「胆、斗のごとし」と大胆なことを表す言葉が生まれました。
逆に言えば胆の働きが低下しているとびくびくしやすい、物事が決断できない状態になります。また胆は他の五臓六腑をバックアップさせる中心に在り朝になると他の臓腑を持ち上げて臓腑の働きを維持させます。
朝起きるのが憂鬱で辛いというのは胆力の低下で、夕方から気分が楽になるというのは症状が改善したからではなく他の臓腑の働きが落ちてくるので胆の負担が減るからです。
小柴胡湯はカゼをこじらせ、食欲低下、気分の落ち込みが出てくる病態に使います。胆の状態を改善するときに使うのですね。これに桂枝湯を加えることで小柴胡湯の柴胡と桂枝湯の芍薬が出会い、逍遥散のように肝臓の気の流れを調節する作用も出てきます。朝から気が晴れない、夕方から楽になるのなら柴胡桂枝湯がいいと思います。

③温胆湯>
気持ちが落ちこみ、よく眠れないときに使えます。
やはり胆がターゲットになります。胆が冷えるという言い方がありますがそれを治すために温めるのですね。しかし実際の温胆湯には温める作用はありません。この場合の冷える、温めるはあくまで比喩です。
胆汁の出が悪くなるため消化がうまくいかず消化管には水の代謝異常から生じる痰ができます。この痰は消化管を使えさせ食欲不振、腹部脹満、ゲップがでてきます。痰が精神を安定化させる心に攻め込むと胸部の詰まり、動悸、落ち込み、眠りにくい病態がでてきます。

温胆湯を使う舌。べっとり苔があり痰の存在が認められます。

9月は六白さんにとって(僕も含め)辛く、憂鬱、不安、悲しみがでやすい月ですが
漢方薬を使ってメンタルを安定化させ、信仰している神様の加護を受けましょう。ちなみに高田好胤薬師寺元官主は法話で線香はいいの使ってくださいと言っておられました。

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