漢方でなんとかしたい!

中医学講師30年。漢方や中華圏の文化とか書きます。

マスクがなくても中医学がある。

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なのに

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マスクのない中国でも予防の観点から中医学が注目されています。

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予防方薬の組成に黄耆、白朮、防風が入っています

生活起居予防を訳してみましょう。

1 室内を衛生的に。換気をする。
2 よく水を飲み、マスクは正確につける。
3 手洗いを正確な方法で行い、咳エチケットを守る。
4 できるだけ人の集まる場所には行かない。
5 消化の良い栄養のある食べ物を摂り、野生動物類の食物は避ける。
6 生のもの冷たいもは食べず、乳製品、卵、肉は必ず火を通して煮ること。

玉屏風散(衛益顆粒)サンプルの請求が多くなりましたが、日本でも中医学を利用して予防しておいたほうが良いと思いますので、具体的な服用方法を解説しておきます。

玉屏風散の服用方法

金元代四代医家の一人朱丹渓が「丹渓心法」に記載した処方で
黄耆、白朮、防風の3種類の生薬からなります。

 主治は、衛弱表虚 自汗 
衛とは衛気のことで、身体の表面を温め外界からの邪気から身体を防衛する働きのある気です。
衛気は昼間は身体の陽の部分(肌表)を25周、夜は陰の部分(内蔵)を25周、めぐります。
 衛弱表虚とは衛気が弱く(不足)しているため表(肌表)を十分防衛することができず、汗の腺は開き気味で汗が漏れてしまっている状態です。
 効能は、益気固表 止汗
衛気を益すことで肌表の防衛力を強くする。

組成

黄耆(おうぎ)は衛気を増やすため、肺、脾の働きを高めます。
白朮(びゃくじゅつ)は脾の働きを高め、肺が衛気を作るのを助けます。
肺は五行では「金」、脾は「土」に属し、土生金の母子関係にあります。
脾を強めることで肺を強めることを中医学では培土生金法といいます。
防風(ぼうふう)はその名前にように風邪(ふうじゃ)を防ぎ、外界からの
邪気を除去します。中医学では「閉門留寇」といい、黄耆などで肌表を固めてしまうと
汗腺が閉じてしまい邪気が外に出られなくなる状態を指します。防風はその危険性を防ぎます。
また黄耆は防風による衛気の消耗を防ぎます。

薬理研究では玉屏風散は生体の免疫機能を調節する作用があり、
cAMPの低い場合には上昇させ、高いものには降下させることがわかりました。

服用方法
原典では研末にしてコップ半分の水に生姜3切れを入れて煎じる、と記載されていますが
現在の顆粒ではぬるま湯に溶いてお茶のように服用すればよいと思います。
ぬるま湯は脾胃(消化管)を温めるので冷たい水ではいけません。
「医方類聚」では大棗を加えているので、ナツメをスライスして加えるのもいいでしょう。
服用回数は1日2回。朝晩空腹時に飲んでください。

松江堂薬局では衛益顆粒のサンプルをご希望の方にお分けしています。
matsuedo@remus.dti.ne.jp 担当鶴見
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