世界の歴史は疫病との戦いの歴史でもあります。
日本も例外ではありません。
この年(天平9年)の春、疫瘡が蔓延した。筑紫にはじまり、夏から秋にかけて、公卿以下、天下の百姓あいついで死亡する者、数え切れないほどであった。こんなことは未だなかった 《続日本紀》
この病気は当時、赤斑瘡(あかもがさ)と呼ばれていましたが「天然痘」のことです。
これは天然痘ウィルスによる伝染病で種痘法により予防ができるようになり、1980年にWHOは痘瘡根絶宣言を発表しました。
今回の武漢肺炎もWHOにより根絶宣言が早く出るのを祈るばかりですが、中共の下部組織に成り下がったWHOの発表を世界の人がすぐに信じるかどうか・・・
中華圏には医学が2つあります。医科大学も2つあり現代医学の医大と中国伝統医学の中医大学でそれぞれに病院があります。
今回の武漢肺炎でも中医学の専門家が派遣され治療を行っています。日本にも漢方があるのになぜ漢方薬を活用しないのでしょうか?
図は今回の武漢肺炎治療あたった中医学専門家によるスライドですが、中国でも長い歴史の中で数々の伝染病に襲われ中国医学で対応してきています。
清代になり伝染病に対し画期的な診断治療法ができました。葉天士の「衛気営血弁証」です。
この弁証方法は伝染病(熱毒)の発展過程を「衛分・気分・営分・血分」の4つの段階に分け、それぞれの段階の病のメカニズムを解説し、対応する治療法、薬物を挙げています。
ウイルス感染を中医学では「熱毒」と表現しますが、伝染病では発熱、咽喉腫痛など熱が中心になる症状がでるのを中国の医師は観察してきました。清熱そして解毒する方法を取ります。
インフルエンザ、ノロウイルス、サーズなどみんなこの思考で対応していきます。
衛気分証というのは感染初期で、「銀翹散」を使います。この処方は最近になって日本でも知る人は知る漢方になりましたが、日本でははじめに「発熱、喉の痛み」に使うカゼ薬と紹介されてしまったため理解が不足しています。
僕は講義で銀翹散は「温病初起」に用いると講義していますが、大先生が「発熱、喉の痛み」と洗脳してしまっているので、なかなか理解してくれません。
伝染病は進行が早く強いので衛気分という邪気が身体の表面に留まっている時間は短く、すぐに次の段階「気分」に侵入します。気分はすでに内蔵に邪気が侵入し始めた段階で皮膚とつながっている肺臓がまず犯されます。
故に咳や黄色い痰、呼吸困難がでます。病のメカニズムで言えば熱毒襲肺の状態です。このときには「麻杏甘石湯」を使います。
今回、武漢肺炎で使われた「連花清溫」の中にもこの2つの処方が組み込まれています。つまり衛分・気分・営分・血分の規則に則った思考で処方は考えられています。
他に板藍根、魚腥草、貫衆、大黄という清熱解毒薬、藿香、紅景天が加えられています。
肺炎に対する有効率は下の記事を読んでください。
中国の言うことだから数字は「?」と思われるかもしれませんが、僕は有効だと思います。
日本の漢方界も頑張ってもらいたいところですね。
www.kameido-kanpo.com
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