漢方でなんとかしたい!

中医学講師30年。漢方や中華圏の文化とか書きます。

コロナと漢方薬

驚愕しています

YouTube視ると、一般のYouTuberがコロナの予防、治療で使う漢方薬を紹介しています。

「自分も飲んでます」というのは安全だ、ということにはなりません。
予防で使う 補中益気湯

李東垣が消化器系の弱い人の「気」を増やすために作った処方です。出典は《脾胃論》です。

脾胃虚弱のなかで内臓下垂のある人に使います。中医学では「中気下陥証」という証に使います。

わかりやすく言えば、消化器が弱く疲れやすく、下痢しやすい、胃下垂気味などの症状を改善します。この症状に皆さんは当てはまりますか?

消化器が弱くて抵抗力を上げたい人には良いです。培土生金法と言って、消化器を強くして肺臓を強くし外からの邪気に対して抵抗力を持つようにする方法があります。

しかし、消化器が弱い(脾気虚)である人に使う方法で、万人が使える方法ではありません。

処方全体では温性なので、のぼせ気味、熱がりの人は不可です。体力を付けようと飲んで却ってのぼせた人を僕は何人も見ています。

治療で使う 麻黄湯、葛根湯 小青竜湯

発汗させて汗と共にウイルスを排泄するということですね。張仲景《傷寒論》の処方です。

麻黄剤と紹介されていましたが、麻黄の発汗作用はそれだけでは強くないので、上記3処方では桂枝も加えて発汗させています。

身体が冷えて汗腺が閉じてしまい汗が出ない状態のときに汗腺を開かせて汗を出させ邪気を排泄させる治法で使うので身体を温めます。肺炎で熱があるときに温薬使うのはどんなもんだろう。

また汗をかかせて邪気を排泄させる方法は、気も排泄してしまうので体力は落ちます。

だいたい200年 東漢の時代 張仲景の処方で伝染病が治っていれば医者は苦労しません。

清代、葉天士の温熱病の診断法「衛気営血弁証」や呉鞠通の《温病条弁》ができて、これが今の伝染病治療のベースになっています。

今回のコロナ治療でも武漢まで中医師が派遣され治療にあたりやっと「清肺排毒湯」「化湿敗毒方」「宣肺敗毒方」の3処方ができました。

YouTuberが軽く扱う内容ではありません。

中国でも漢方薬の「双黄連口服液」が効くと情報が流れ薬店に長蛇の列ができました。このときは中医師が副作用が出るから自己判断で飲むな

と注意喚起しましたが、日本ではそうした注意をする機関もありません。

是非、相談してから使うようにしてくださいね。

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双黄連口服液 完売

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