漢方でなんとかしたい!

中医学講師30年。漢方や中華圏の文化とか書きます。

時の流れと新型コロナウイルスによる武漢肺炎

余の一族は、元々二百に余るほどであった。
しかし、建安紀年から十年も経たないうちに、三分の二が死んでしまった。
死んだ者の内、十中に八は傷寒の病であった。(建安紀年 西暦196年)
その昔に死亡者が続出したことが心に刻まれ、まだ生きるべき若者が死んでい
くのに、それを救う手段がなかったことに心が痛んだ。
このような過去を慮り、勤めて古人の訓えを探し求め、今に伝わっている方剤
を広く集め、『素問』『九巻』『八十一難』『陰陽大論』『胎臚薬録』并びに
平脈辨証を撰び用いて、『傷寒雑病論』合わせて16巻にまとめて著した。

200年、東漢の時代、医聖張仲景は疫病で一族の殆どが亡くなってしまったのを嘆き傷寒論を編纂します。

この医学書に出てくるのが麻黄湯です。

汗をかかせる解表法という治療法で邪気を取り払いました。

元代になると李東恒が登場します。補土派といい消化器系を整えることで病気を治しました。

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金元代 四大医家

李東恒の国が疫病に襲われ人々は衰えて死んでいきました。張仲景の処方を使いましたが効きません。実はこの国は敵に囲まれ兵糧攻めにあった後だったので人々は消化器系が弱り栄養不足だったのです。

そこで李先生は補中益気湯を作り、消化器系から立て直し、回復を図りました。

清代になると葉天士の衛気営血弁証、呉鞠通の温病条弁ができます。

衛分(高熱が出て喉が痛む)⇒気分(肺が熱し咳、痰)⇒営分(血液が熱くなり出血して体に発疹がうっすらできる)⇒血分(精神錯乱)という段階で熱病は進むという診断法です。


新型コロナウイルス感染者が血管炎、脳梗塞、川崎病。その共通点とは…!?/岐阜大学 抗酸化研究部門 特任教授 犬房春彦(医師・医学博士)

これは新型コロナウイルスの進行段階と似ていますね。清熱解毒して治します。

それぞれの時代にはそれぞれの医学レベルの限界があります。

現代ではそれぞれの時代の医学を踏まえて、疫病に対応しています。

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